うらやましい制度

2014/09/23

うらやましい制度

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スライド13

日本経済新聞で面白いニュースを見つけた。

 

博報堂DYホールディングスも独自の社内ベンチャー制度を持つが、手厚い資金支援にとどまらず、事業計画立案を助ける指南役を用意し、事業化に失敗しても元の部署に復帰できる。あえて「過保護」ともいえる仕組みにすることで、チャレンジする気概、アイデアを出す力を培おうとしている。(中略)

国内全子会社から年1回、テーマを募り、最初の15カ月間はテストマーケティングの会社を立ち上げて様子をみる。KPI(重要な目標達成指標)の達成状況によって本格的な事業会社にするかを決める。肝となるのは「起業や営業に関わるコストを博報堂DYが負担する」「ガイドの手厚い指導」「片道切符ではない」だ。

企業草創期の難題ともいえる資金面の心配をなくすことで、アイデアや仕掛けの磨き上げに没頭することができる。そして、本部長代理や部長クラスを招集し、ガイドとして指南させる。

2014/8/17 日本経済新聞「博報堂DYの社内ベンチャー、失敗しても出戻りOK」】

 

端的に言うと、博報堂の社内ベンチャー制度に通過すれば、ノーリスクで起業できるという話だ。採択されると、数千万の初期資金とテストマーケティングの期間15か月が与えられるのだという。その結果、資金繰りや人繰りに奔走されずにビジネスに集中できるのだという。しかも、失敗したら特段大きなマイナス評価になるわけではなく、元いた場所に戻れるそうだ。

ネットではこの記事に対して、「資金繰りの切迫感こそ起業の醍醐味」という反応が出ている。しかし、それは大量の株式を所有して事業を行う醍醐味と表裏一体のように感じる。資金繰りの恐怖など、よっぽどのリターンが見込めなければ、わざわざ経験したいものではない。

味わってみるとよくわかるが、資金繰りで悩むと、夜も眠れなくなる。預金残高がみるみる減少していく。これまで貯めてきた貯金も全部なくなるかもしれない恐怖に駆られる。独身の私ですら、本当に恐怖だった。まして、子供がいたり家を買っていたりすれば、そのプレッシャーは半端じゃないだろう。だが、新規事業に挑戦したい人が、必ずしも資金繰りの恐怖を味わう必要はないと私は考えている。

新規事業を立ち上げるスキルも、マーケティングやアカウンティングなどと同じ、ひとつのスキルととらえれば、そのスキルを磨きあげるのにわざわざ人生を捧げる必要はない。新規事業立ち上げのスキルは起業家の特権ではない。

社内から分離して別会社にするのも、担当者がいろいろな部署からの横やりに左右されなくするための配慮と考えるのだが妥当だ。革新的な商品・サービスは、「起業家が資金繰りの恐怖に直面して初めて生まれるものである」と絶対言えるのなら、この取り組みからイノベーションは生まれないだろう。

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編集者

Ken Katakura

株式会社ビタリー CFO Digital Strategy Group マネジングディレクター。
慶應義塾大学経済学部卒業後、アクセンチュア(戦略グループ)に入社。その後、企業再生とM&Aを専門とするコンサルティング会社フロンティア・マネジメントに参画。2013年に独立し、本の要約サービス「flier」を創業。2014年7月にリーンコンサルティング株式会社を創業。2015年4月に株式会社ビタリーを創業。経営戦略コンサルティングファームと自身のベンチャー創業で得た経験を基に、業種を問わず大企業のクライアントに対して、ベンチャー流の素早い新規事業戦略の策定・実行支援及び人材育成を行っている。

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