不可能だと言われていた難聴治療に10億円の投資『AudioCure Pharma』

2016/12/02

不可能だと言われていた難聴治療に10億円の投資『AudioCure Pharma』

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こんにちは、週刊新規事業の若菜さくらです。
今日は2016年11月29日に€9 Million(Series A)の投資を受けた『AudioCure Pharma』をご紹介致します。


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難聴治療を目指すAudioCure Pharmaに10億円以上の出資


AudioCure Pharmaはドイツの会社です。創業者兼CEOのHans Rommelspacher氏は医学博士号を持っています。COOにも医学博士であるReimar Schlingensiepenを迎えており、治らないと考えられていた難聴治療の前臨床実験(臨床実験の前段階として行われる動物実験)や薬物療法を研究しています。


 

難聴の種類


難聴は原因も種類も多岐に渡ります。
大きく分けると3種類で、伝音性難聴・感音性難聴・混合性難聴です。


伝音性難聴は、外耳・鼓膜・中耳といった、音を神経まで伝達する器官の障害が原因になっています。聴覚神経には異常がないため、治療できる可能性が高く、補聴器による効果が大きいと言われています。


感音性難聴は内耳・聴覚神経に障害のある難聴で、現時点では治療は困難だと言われています。補聴器による効果もあまり期待出来ません。
突発性難聴は感音性難聴です。原因は不明で、早期であれば治る可能性もあると言われていますが、発見が遅れた場合は治療が難しくなってきます。


混合性難聴は伝音性難聴と感音性難聴の両方を併せ持っている難聴です。どちらの度合いが強いかによって、補聴器の効果にも差が出てきます。
老人性難聴は混合性難聴であることが多いです。老人性難聴の特徴は、周波数が高い音ほど徐々に聞こえづらくなるというもので、先天性の感音性難聴に比べると補聴器の効果は大きいとされています。


更なる細かい分類もありますが、AudioCure Pharmaは治らないと考えられてきた感音性難聴の治療を開発してきました。


 

難しいと言われる、内耳への取り組み


まず最初の段階として、突発性難聴と耳鳴りの治療法を開発しています。
突発性難聴は上記のように、今まで治療は不可能と考えられていました。


また、耳鳴りは難聴のサインとも言われている上、毎年人口の1%もの人が苦しんでいるとされています。
日本の厚生労働省にあたる、FDA(アメリカ食品医薬品局)にもEMA(欧州医薬品庁)にも、これらに有効とされる薬は未だに1つも認可されていません。だからこそ、この研究は非常に需要が高いと言えます。


これらに続いて、内耳に関する他の疾患にも取り組んでいく予定です。例えば、蝸牛殻のインプラントやめまい治療などです。


 

難聴・聴覚障害者の人口


どの基準で難聴とするかによってデータにもずれがありますが、
日本補聴器工業会のデータ(2000年)では、世界人口の8%が難聴者であるとされています。


しかし、高齢化が進行するに従ってこの割合は高くなると言われており、
高齢化が最も進んでいると言われる日本では、既に人口の15%にものぼると推定されています。
世界的にも2025年には11%まで上がると言われています。難聴治療はこれから先、多くの人々の課題になってくるでしょう。


 

市場価値も見込めますし、多くの人々に希望を与える医療ですね。

しかし、難聴の課題としては治療が難しいこと以外にも、患者自身が自覚していない場合が多いことが挙げられます。これは、難聴が徐々に進むこと・視覚に比べて周囲からの指摘を受けにくいこと・難聴が老化のイメージと結びつくので認めたくない、という意志が働くことなどが原因です。

こういった問題も解決できると、早期発見でより治療がしやすくなりますね。

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編集者

Sakura Wakana

株式会社ビタリー ディレクター兼エンジニア。
言語はJava, Ruby, Javascriptを主に使用。
個人プロジェクトでは企画・デザイン・開発までこなすなんでも屋。
学生時代にハッカソンで受賞。そこでの出会いをきっかけに、熱い想いを持ったベンチャーに関心を持つようになる。

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